1886年(明治19年)広島の乳業会社「チチヤス」は、安芸門徒の野村保によって創業された。その目的は、浄土真宗の布教団体「闡教部」(せんきょうぶ)が運営する学校運営団体「光道館」の活動資金を調達することであったという。
光道館の経営が軌道に乗ったため1892年には闡教部の系列から離れて、浄土真宗とは無関係の会社となっている。1917年(大正6年)には日本で初めてヨーグルトを発売した。
当時はガラスビンに入れられ、19銭で販売されていた。高級品であり、主に病を持った人に向けて販売されたという。私の子供の頃も、チチヤスヨーグルトは広口の底の浅いガラスビンで売られていた記憶がある。
事業の利益を元に財団を設立し、社会貢献をしている例はたくさんある。それさえ賞賛に値するのだが、「チチヤス」のように創業の目的が真宗の精神を基にした教育や伝道のためというのは主客逆転。驚嘆なのである。
乳製品と仏教の話は終わるが、事業の創業目的が仏教伝道のためという話を更に次回に。