先日ご法事にうかがったご門徒からいろいろと教えてもらいました。インドや中国の話をしていて、チベット僧の袈裟の話に。
「チベット僧の袈裟はカイガラムシで染めるそうですね」
「えっ!本当ですか?」
あの赤(エンジ)が…全く知りませんでした。
調べてみるとアジアを中心に世界中で使われる染料とのこと。カイガラムシと言えば、うちの境内の梅の木にもびっしりとへばりつく、あの気持ちの悪い害虫です。あの虫を使うのかぁ…
さらには食用の着色剤にも使われるそうです。和菓子の紅色にも、それからカンパリの赤い色もこれだそうです。カクテルに虫の色!!(現在はさすがに合成染料らしい)
袈裟はもともと糞掃衣(ふんぞうえ)といって、ゴミとして捨てられた、汚れ破れたボロを繋ぎ合わせて作られたもの。だから今の日本で素材こそ西陣織の金襴なんかになっても、つくりは継ぎはぎだらけです。梵語で「カシャーヤ」といい、漢字で「袈裟」と訳されました。
ちなみにタイ僧の袈裟は黄色ですが、これはジャックフルーツ(カヌン)というという木を使うそうです。和名では波羅蜜(ハラミツ)というそうです。波羅蜜は「悟りに到るための菩薩の実践徳目」をいいます。これは何ともうってつけの染料ですね。
しかしチベット僧のそれは無数のいのちを染めつけるという…。ちょっとびっくりしてしまいました。