もうずいぶん前、長男が大学生の時、課題のレポートのために取材を受けたことがある。「人生の先輩」に「キャリア」について取材し、レポートを作成するようにとのことだ。身近な大人は親なので、私が手伝うことに。「住職じゃ、あまり役に立たない」と思ったのだが、まぁ答えてみることにした。
取材相手(父):僧侶(真宗大谷派 真念寺住職)法規的立場は「宗教法人真念寺代表役員」
取材内容:
①これまで取り組んできた仕事(キャリア)
教学研鑽、布教、講師出講、儀式執行、ほか寺院でのイベント等企画実行。
②どうしてこの仕事を選んだのか
祖父、父と住職が継承された寺院であり、登記された「寺院規則」には「○○姓を名乗る男子」が住職となる旨定められている。人情としても多くの門徒の嘱望を裏切るわけにもいかなかった。自発的意思によって選んだのではないかもしれないが、現在は「たまわった道だから辞めるわけにはいかない。自分で選んだのならとっくに辞めているかもしれない」と言っている。
③この仕事に必要な能力・仕事のやりがい
特別な能力は必要ないが、真宗大谷派の僧籍と「真宗大谷派教師資格」がなければこの仕事はできない。少しの宗教的感性、常識的な話術(長けていれば申し分ない)と、儀式には音感があった方がいい。やりがいは、物を創造するということでないので、なかなか見出しにくい。しかし一人でも教えにうなずく人がいればいい。人が育つことが何物にも代えがたいやりがいである。
④これから就職していく「私」へのアドバイス
好きなことをやってやりがいを見いだせれば申し分ないだろうが、なかなか難しいと思う。生きていくことは徒労に耐える部分も多い。だからこそ手応えのある仕事は大きな喜びとなる。ひとかどの人間になって欲しいなどとは思わないが、どんな仕事に就こうとも自分自身を大切に生きていけるように。仕事は人生のすべてではない。大切に生きることの重要要素の一つだと思う。
と回答。参考になったかどうか…、いったい「私」はどんな立場で社会生活を送っているのか?改めて子どもから問われたような気分でした。
利潤を追求する組織ではないけれど、しかし維持管理だけでも経費はかかるし。かすみ食って生きているわけでもないしね。世間で「住職」はどのように映っているのかしら?
うちの場合は…、「社長で小間使い」なのです(笑)。
そんな長男も地元企業に就職。仕事に必要な国家資格も得て、今年社内結婚で入籍しました。おめでとう!
そろそろ爺さんになれるかな。